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カテゴリー「中国」の記事

中国の書道史

カンニング

おはようございます。

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。

美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。

cherryblossom cherryblossom cherryblossom cherryblossom cherryblossom 

私は、週に一度、英会話に行っています。

そこで、今日の話題は、なんと、

「カンニング」

でした。

近ごろ、試験会場での携帯使用によるカンニングについて、
ニュースがあったので、この話題は、
かなり、盛り上がりましたsign03

・ばれたら、危険!入試でそんなことをするなんて!
・学歴ばかりが人生じゃない。
 ほかにも大切なものがあるでしょ?

などなどありました。

アメリカ出身の先生によれば、
アメリカでは、
普通の学校試験では、カンニングは日常茶飯事だそうで、
ペットボトルのラベルに小さく書いたり、

YouTUBEにもアメリカ人のカンニング中動画が出てたりするんだそうですよ。

中国でも、カンニングは、よくあったみたいです。

そこで
*************
清代まであった、科挙試験
*************

※中国のお役人さんのイメージは、
※今、『蒼穹の昴』がNHKで放映されているので、馴染み深いと思う方も多いとおもいます。

中国の科挙は、
数年に一度、
試験会場に受験者を集めて、
壁で仕切られた小部屋に一人ずつ入れて、
数日間かけて実施されます。

その間、煮炊きして食事の準備をするのは自分です。

だから、食糧・鍋をもって出かけてゆくわけです。

家族・親族・地方全体の期待を一身に受け、
何年も何年も勉強を続けて、
試験会場では、
あまりの緊張感に、発狂して、外に出される人もいたそうです。

※これ、かなり不名誉なことだったみたいですよ。

これだけの試験ですが、
カンニングも、かなりあったようです。

※これも、ばれるとかなり不名誉なことだったみたいで、親族にまで処罰が及んだようです。

どんなふうにカンニングしたかというと、

京都の藤井有鄰館には、

こんな下着があります。

これ、袖の先から裾まで、
びっしり細かい文字で埋め尽くされているんです。

あとは、小さな冊子にびっしり書き込んで持ち込む方もいたようです。

でも、
たとえ、持ち込んだとしても、書いた内容を理解できていなければ、何の意味もないものです。

法学部の学生が、
持ち込み可だからといって、
授業に出ずに、
『六法全書』だけ持って試験会場に行っても、
何も書けないのと同じですね。

はてさて、

このように、

長い歴史のなかで、
いろんな形でなされてきた
伝統ある人間文化の1つであるカンニングですが、、、

英語では、カンニングとは言わないそうです。

カンニングは、実は、日本語英語なんですね。

では、英語では、なんて言われているでしょうか?

答えは、
cheating
だそうです。

cheatingは、
1.不正行為
2.〔恋人・配偶者などの〕浮気
の意味もあります。

学歴社会的な考え方の根強い日本ですから、
カンニングしてまで学歴をほしいという気持ちもわからないではないですが、

人生には、山も谷もあると思います。
※まだまだ若輩者の私が言うのもなんですが、、

一つの関門を、簡単な方法で潜り抜けたところで、
いずれつまづくものです。

小手先のワザよりも、

もっと大事なもの

・自分の夢
・それに向かって頑張り続けることのできる熱意
・家族・仲間を大切にする気持ち

などなど、

あると思います。

誰にでも、チャンスは、やってくるものだと思います。
※チャンスの大小はあるでしょうけども、

だけど、
チャンスを生かし、
その立場を維持し続けられるかどうかは、
やっぱり、

・チャンスが来た時点で十分に実力をつけていること
・熱意を持続できること、
・周囲への思いやりがあること

にかかってくるんじゃないかと感じています。

今「不遇だ。。」と悩んでる方、

諦めないでくださいね。

・実力を向上させ続けること、
・自分の夢を発信し続けること、
・仲間を思いやる気持ち、

これが、あなたを後押しします。

いつも以上に、熱くなってしまいました。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

今日が、あなたにとって、素敵な一日でありますように。

==========
参考文献
==========

科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15)) 科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15))

著者:宮崎 市定

販売元:中央公論新社
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蒼穹の昴(1) (講談社文庫) 蒼穹の昴(1) (講談社文庫)

著者:浅田 次郎
販売元:講談社
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筆者とは、関係ございません。

Copyright © 2011 文字工房 安寧齋(あんねいさい) All rights reserved.

雲崗石窟と龍門石窟

おはようございます。

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。

今日は、2010.7.22(木)
朝から暑いですね。
暑さに負けず、今日も、素敵な一日にしましょうup

さて、
美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。

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今日は、雲崗石窟龍門石窟を取り上げます。

どちらも、世界遺産です。

flairリンクをクリックする際、ctlキーを押しながらクリックすると、別タブに表示されます。
flairリンクをクリックする際、altlキーを押しながらクリックすると、別ウィンドウに表示されます。

では、書道で有名なのは、どちらでしょう?

答えは、龍門石窟です。

どちらも、石窟寺院として、共通しているのに、
なぜ、龍門石窟だけ、書道で有名なのでしょうか?

では、二択です。

1.雲崗石窟には、文字が彫られていない。
2.雲崗石窟に彫られている文字は、下手で手本にならない。

解答は、

1.2  といったところですbleah

あいまいな答えでごめんなさい。

というのも、

雲崗石窟には、ほとんど文字が彫られていません。

例外的に、ちょこっと、彫られているところもあるようなんですが、

技術的に劣っているようなんです。

では、どうして、雲崗石窟には、文字が彫られていないのでしょうか?

またまた、二択です。

1.当時、誰が誰を祀るということは、記銘する習慣がなかった。

2.皇帝主導の建造物であったため、記銘しなかった。

解答です。

2です。

皇帝が造るものには、記銘する習慣がなかったようです。

例外的に、雲崗でも、文字が彫られているものもあるようですが、

皇帝が財政難に陥って、一緒に建造する人を呼び入れたんじゃないかと想定されています。

しかし、皇帝が、腕のいい職人を囲い込んでいたから、

あんまり、いいものを残すことができなかったんじゃないかと言われています。

ということは、

龍門石窟は、

皇帝以外の人たちが作ったもの

ということになります。

だから、記銘されているのです。

そうそう、記銘というのは、

誰かを祀るために仏像を作って、

その脇に、

「誰が、誰を祀るために、いつ、この仏像を造りました」

という文章をつけることです。

龍門石窟では、

この文章の文字が素晴らしいsign03

ということで、

後世、書道の手本に使われるようになったんですね。

龍門では、その中で上位20の記銘が、

龍門二十品(りゅうもんにじっぽん)

 

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◆二玄社◆801120 中国法書選 20:龍門二十品〈上〉  A4判変形74頁◆二玄社◆801120 中国法書選 20:龍門二十品〈上〉  A4判変形74頁

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この中でも特に有名な牛橛造像記も、やはり、仏像につけられた記銘です。

幼い息子(牛橛)をなくした母が、

息子を祀るために、

仏像を造像した際の記録なのです。

青銅器

おはようございます。

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。

美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。

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青銅器をみて、

「どこが面白いんだろう?」

と思ったことありませんか?

私は、思っていました。

筑波の書道専攻では、隔年で、学外演習というのがあります。

私の時は、関西方面に3泊4日で行ってきました。

その中で、
泉屋博古館
に行った時のことです。

ここは、青銅器がめちゃめちゃ多いのです。
青銅器の常設展示のページ

学校で連れてきてもらった、貴重な学外演習ですから、
あとで、レポートという、宿題もついてきてますし、
まじめに観ました。

でも、
どこが良いのかわからず、
とりあえず、説明文は残らず読もうとしていたんです。

しかし、

楽しそうに見学している他の学生の姿を見つけました。

話しかけると、

「青銅器、好きなんですよ~」だそう。

本能的に、どうも、古いものが好きな様子なんですね。

なぜだ、

なぜ、好きなんだ。

本能的に好きな学生は、理由を言葉にするのは、得意ではない。

だから、
別の人にも、聞いてみたんです。

私:「どこの辺を見て、面白いと感じているのですか?」

他:「中国では、悪いものが寄ってこないように、
   一番悪いものを
   青銅器に鋳込んだんだそうですよ。
   悪いやつの顔を観察していると面白いですよ!」

なるほど、

一番邪悪なものがくっついていれば、
それより、弱い魔物は寄り付かない。

お祭りの神聖さを保つための、逆転の発想かflair

と教えてもらったら、

なんだか楽しくなてきたんですね。

そこで、少し、阿辻先生の本を見てみましょう。

 

漢字の文化史 (ちくま学芸文庫) Book 漢字の文化史 (ちくま学芸文庫)

著者:阿辻 哲次

販売元:筑摩書房
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この本の77ページで、青銅器に鋳込まれた紋について、詳しく説明されています。

青銅器には、
①実際に存在する身近な動物
②実際に存在しない架空の動物

の両方が鋳込まれていましたが、

②の想像上の動物は、
「まことにおどろおどろしい形に描かれていることが多い」
と阿辻先生もご指摘されています。

そこで、②で一番多くみられるのが、

「饕餮文(とうてつもん)」

といわれるもの。

阿辻先生のご説明によれば、
饕餮とは
「渾沌・窮奇(きゅうき)・檮杌(とうこつ)とともに「四凶」と呼ばれ、
 後に聖天子堯(ぎょう)によってそれぞれの大地の
 四方に追放されたという、
 古代の伝説上の悪者の名前である」
のだそうです。

続いて、
「饕餮は大変に貪欲な大食家で
 悪食のあまり
 悪霊まで食ってしまう。」

悪いもの、寄り付かないように、
できる限り、
怖く描いたんですね。

この模様、古いほど、複雑なんだそうです。

だんだん、時代を下ると、簡略化された形になる。

そして、宗教的な意味合いも希薄になってゆき、

神秘的な紋様も減ってゆく。

春秋時代くらいになると、

饕餮があった位置に、

文字が書かれるまで変化してしまう。

この文字も、

器を神聖化するためのものではなくて、

「子々孫々いつまでも
 これを宝物としてたいせつにするように」(96ページ)

という内容になっているんだそうです。

この変化の過程を見るのも、

面白いですね。

本物か偽物か

おはようございます。

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。

 

美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。

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中国の作品は、

○○筆とされていても、

偽物もあります。

あ、

偽物だから悪いというわけではないんです。

やはり、質の良いものは良いのです。

だから、偽物とわかっていても、

偽物としての、上品・中品とかという見方もあったようなんです。

それに、

皇帝自ら、偽物作りを指示していました。

偽物

といっても、

はるか昔は、印刷技術が無いわけで、

模本を作らせていたわけです。

有名な王羲之『蘭亭序』

あれも本物は残ってません。

肉筆の作品のように見えるものが現在でも残っていますが、

北京故宮の唐の楮遂良による模本とされる作品

北京故宮の唐の虞世南による模本とされる作品

北京故宮の唐の馮承素による模本とされる作品

これは、2008年に、江戸東京博物館に来たものです。
NHKの日曜美術館で紹介された時のページ

これら、全て、模本です。

本物ではないです。

王羲之の文字がお気に入りだった

唐の太宗が

優秀な部下たちに作らせたものです。

では、本物はいったいどこに。。。。。

では、ヒント。

唐の太宗は、

『蘭亭序』が大のお気に入りでした。

本物は、

唐の太宗とともにあるそうです。

唐の太宗が、

「俺が死んだら、『蘭亭序』と一緒に葬ってほしい」

といったんだそうです。

ものすごい、コレクター魂ですね。

でも、本当に今でも

唐の太宗が、『蘭亭序』を抱いているのか、

誰も知りません。

現在、本物を見ることは、できませんが、

でも、

優秀な書家が

いくつも模写してくださっていたおかげで、

353年に書かれたとされる『蘭亭序』の面影を

1700年近く時間が経過した現在でも見せてもらうことができる。

ありがたいことです。

『蘭亭序』は、

現在でも、

書道を勉強する方々は、必ず臨書する作品です。

『蘭亭序』に始まって、『蘭亭序』に終わるといっても、言いすぎじゃないかもしれません。

初心者のうちは、一文字一文字の造形を学び、

次第に、文字の造形の自由さに気付き、

だんだん、同じ文字でも前後の文字との調和で、文字の形が工夫されていることに気付き、

全体として、調和のとれた作品を作ることを勉強できるようになってきます。

 

『蘭亭序』―二種 『蘭亭序』―二種

著者:王 羲之

販売元:天来書院
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遊糸書(4)

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。


美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。





遊糸書(3)

の続きです。

次の順に詩が並んでいます。

作者や題名は作品には記載されていません。
一枚の紙にひとつの詩が書かれていて、
三枚継いでできてます。

 ⅰ.王安石 西太一宮樓
   草際芙蕖零落,水邊楊柳欹斜。日暮炊煙孤起,不知魚網誰家。

 ⅱ.王安石 西太一宮壁
   柳葉鳴蜩綠暗,荷花落日紅酣。三十六陂春水,白頭想見江南。

 ⅲ.蘇軾 西太一見王荆公舊詩偶次其韵二首
   秋早川原浄麗,雨餘風日清酣。從此歸耕劍外,何人送我池南。

紙の継ぎ目付近に、たくさんの印があります。

宋の時代から現在までに、
 所有した人
 見た人
などが、
自分が関連したしるしとして、
印を残すようなのです。

前から順に、誰の印があるのか、書きます。

※わからないものもあります。

 どなたかわかる方、教えてください。

 

Photo_5

  1.乾隆帝御覧之宝 乾隆帝
  2.御賜 続きは不明
  3.皇太子章 誰のものかは不明
  4.深心託毫素 誰のものかは不明
  5.安氏儀周書画之章 安岐
  6.一清足称読書者 誰のものかは不明
  7.不明
  8.董史秘〓
  9.良史賞鑑
  10.不明
  11.儀周珍蔵 安岐
  12.呉説私印 呉説
  13.西山逸士 溥儒(恭親王の孫)
  14.省心斉図書印 溥儒(恭親王の孫)
  15.心賞 安岐
  16.8.と同じ
  17.9.と同じ
  18.10.と同じ
  19.7.と同じ
  20.三呉呉説章 呉説
  21.11.と同じ
  22.不明 

では、来歴を考えてみたいと思います。

印や著録や題跋などから、
どんな人の手を渡って、
今に至っているのか、
想像するのは、
楽しいものです。

  南宋 呉説本人の印
  ⇒民間流布か?
  ⇒清  呉升『大観録』
  ⇒清  安岐 多数の押印あり。また、『墨縁彙観録』に記載あり。
  ⇒清  乾隆帝 押印あり。清の内府に収蔵されたか。
  ⇒清  溥儒 
  ⇒民間流布か?
  ⇒有隣館 現在に至る。

わりと、時代の大変革期に、所有者の懐事情のやりくりのために、
売りに出されて、流布することが多いようです。
宋の終わり、清の終わりのころも、
おそらく、皇族が生活に困って、
売りに出したんじゃないかと思います。
もしくは、家来が持ち出したとか、、、、

この辺は、いろいろと想像を膨らませると、
小説ができるかもしれないですね。

遊糸書(3)

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。


美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。





遊糸書(2)

の続きです。

先に、遊糸書は当時、とても流行っていたようだ
と書きました。

では、他にも遊糸書は残っているのでしょうか。。。。

残っていないようです。

現在、遊糸書は有隣館にある「王荊公蘇文忠三詩巻」のみ
のようです。

でも、過去の収蔵家等が残した著録には、
※著録:かわいい名前ですよね。
    チョロキューみたいな。
    大辞林によれば、「帳簿に記録すること。書きしるすこと。」
    書道などの作品に関しては、過去の収蔵家等が、
    持っているもの一覧を作ったり、
    他の家に行って、見せてもらったことを記録しておいたり、
    といったことを書いておいたものです。

これ以外の作品がいくつか記載されています。

たとえば、
『宝真齋法書賛』巻23には、
  「遊糸書飲中八仙歌帖」、
  「四体書帖(遊糸書含む)」が掲載されています。

それから、
遊糸書は、いくつかの文献において絶賛されています。

清の笪重光は、
『書筏』の中で、
「人の直角の力強きを知るも、
 遊糸の力に更に堅利多鋒なるを知らず。」
と言っています。

つまり、

ゆらゆらしているように見えても、
正しい用筆で書かれているものは、
直線の実画以上に力があると捉えている、
という意味のようです。

実際に見たとき、
まさに、そのとおり!
と思いました。

これほどまでに線の太さを均一に保てて、
しかも、線が緩んでいない。
ぴんとしている。

この技術はどこから来ているのか、
とても不思議に思いました。

だって、ですよ。

この細さを保つには、
少しでも腕がぐらついたら、
線はすぐに歪みます。

でも、この作品、
驚いたことに、歪みが、まったく無いのです。

小さな仮名を書くだけでも、
まだ未熟な私は、
線に歪みが出てしまうんです。

なのに、
呉説は、
掌サイズの文字を万年筆程度の太さで
書き続けているんです。

一体、どうやってこの均一さを保ったのでしょう。。

篆書の筆法では、最初から最後まで均一に線を引きます。

もしかしたら、呉説は、篆書にも通じていたのかもしれません。

それから、この長い連綿のヒントはどこにあったのでしょうか??

呉説と同時代には、
見当たらないように思えます。

もしかして、日本の仮名をみて、
美しい連綿で書いてみたいと思ったのではないか、とも思いました。

現代でも不可思議な作品ですが、
呉説の同時代の他の作品から見たら
もっと不可解で奇想天外な作品だったと思います。

発想のもとになった、
何かが存在していたのではないでしょうか。

でも、これについて、記録している文献は見当たらず、
答えはわかりません。

遊糸書(2)

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。

美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
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歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

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遊糸書(1)

の続きです。

呉説に関する論文を探しでも、沢山はありません。

書道の全集の図版解説や書道辞典などに、
ちょっと載っている程度でした。

で、わかったことは、

呉説は、正史に一切記載がなく、よくわからない人のようです。

そうは言うものの、
呉説は南宋では凄腕の名手だったようです。

南宋の書の名手として名高い高宗も

「南渡ののち、みられるものは呉の遊糸と徐兢の篆書」

とおっしゃっています。
(『翰墨志』より)

高宗には、他にも逸話があり、

南宋の都である臨安の北山にある呉説が書いた九里松碑を、
自分の書で置き換えようとしたが、
3度挑戦して呉説に及ばず、
そのままにした

ということです。

南宋の書に大きな影響を及ぼした高宗をもうならせた
呉説の力量は、相当のものだったんですね。

実際に、呉説と高宗の

 楷書作品

を見くらべてください。

※お手数ですが、
 http://images.google.com
 にて、
  呉説
 
 http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/index.html
 にて
  高宗
 を検索してみてください。

 画像が分かりにくいと思います。
 詳しくは、図書館などで、書道全集などをご覧ください。

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高宗の堂々としてがっちりとした楷書に対して、
呉説の楷書は風に柳のような、
しなやかさがあります。

実際に見比べてみるまでは、
何故高宗がそこまで呉説を褒め称えたのか分からなかったんですが、。

高宗は、おそらく、
自分に無い
「しなやかさ」と「ゆとり」
に惹かれたんじゃないかと思いました。

さて、呉説は、技術的に優れていたということがわかりました。

じゃ、なぜ、普通に書くだけじゃなくて、
遊糸書なんて書いたのでしょうか。。。。

一般的な書に飽き足らず、
余興をかねてか、
新しい世界にも手を出した柔軟な思考を持った人であった
のではないだろうか、、と思います。

遊糸書という、他には見られない書風を実演できるのは、
生活や実務に追われ、
気持ちに余裕がなくなってしまっては
実現できないのではないかと思うんです。

私は、思い立ったら一直線、
脇が甘くなる性格です。

自分も、

呉説さんのように、

心にゆとりをもって、

何か新しいものを生み出せるくらいの

余裕を持っていたいものだと思いました。

遊糸書(1)

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。


美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
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歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
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書道の作品を見ることが
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さて、日本のものばかりだったので、
中国のものを取り上げます。

といっても、
かなり独特のものです。

去年の秋、藤井斉成会有隣館に行ってきました。

http://www.yurinkan-museum.jp/

科挙のときの、
カンニングペーパー?
のような、
小さな文字がぎっしり書かれた
「下着」
も印象的だったのですが、

呉説(南宋)
 「遊絲書(紹興十五年)」

が、とても面白かったです!!

※実際の作品は、次の本で見ることができます。

すぐわかる中国の書 古代〜清時代の名筆  /可成屋/編 [本] すぐわかる中国の書 古代〜清時代の名筆 /可成屋/編 [本]
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この作品のどこが良いのか、
実物を見るまで、
よくわからなかったんです。

本に掲載されている写真でみると、
か細い線で変化もなく、
文字はくねくねしています。

でも、これに似たものを見たことはないですし、

これほどまでに特徴的なものであるのだから、
前例があって、
それを応用したのではないかとも考えました。

無から何かを生み出すということは、難しいことですし、
何かしらヒントがあって、
それを応用したり発展させるのであれば、
一見奇想天外と思われるものでも、
生まれてくる可能性が、
あると思うのです。

呉説が生きていた当時、
人気が高かったとされるのですが、
類似品は、私の探した範囲では見つかりませんでした。。。

呉説ののち、
これをまねた作家もおらず、
はてさて、
一時的な流行りものだったのか、、、、

傳山の連綿帖幅が似ているようにも思えるのですが、
呉説ほどの線は細くないですし。。。

※実際の作品は、次の本で見ることができます。

すぐわかる中国の書 古代〜清時代の名筆  /可成屋/編 [本] すぐわかる中国の書 古代〜清時代の名筆 /可成屋/編 [本]
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では、日本の仮名かな??
これにヒントを得て、
こんな不可思議なものをかいたのかな??

とも思いました。

というのも、

仮名の線は、
一見か細い線ではあっても、
その中には、表情豊かな情緒的な世界があると感じるんです。

もしかしたら、
仮名の世界を
呉説なりに、
遊糸書の中に表現したのかなぁとも思いました。

よくわからないものは、
自分で真似て書いてみると
少し、わかった気分になるかも、

と思い、書いてみました。

まねするのは、難しい

ということがわかりました。

10cm四方の大きな文字を、
筆先1mmくらいの太さで、
均一に書くっていうのは、
きついです。

机に肘をつけて
安定させて描くには、
文字が大きすぎますし。

私の技術では、
ちょっと、
いやかなり、きついです。

実は呉説という人は
基本をしっかり見につけつつ
新しいものを探求し続けたピカソのような人ではなかったか、
などと
私の妄想は膨らみました。

次回以降、何回かにわけて、
この遊糸書について、
来歴、
実見した感想など、
まとめたいと思います。