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カテゴリー「古筆」の記事

平安時代の仮名作品中心です。

古筆の脱字

おはようございます。

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。

 

美術館や博物館で、

書の作品って、
どこが面白いんだろう、、

と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、

皆様の心に

何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。

clover chick clover chick clover chick clover 

今回は、脱字を取り上げます。

千年以上も前から珍重されて、
現代まで大事に大事にされてきた、

古筆。

そんな、すごいものにまさか、脱字なんてsign02

と思われるかもしれません。

しかし、結構あります。

10080312017_3

これは、高野切一種 古今和歌集12番歌の臨書です。
※両脇の小さい文字は、
 ふりがなとして、現代のひらがなを添えました。

 

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この本の解釈によれば、

「やまかぜに
 とくるこほりの
 ひまごとに
 うち(い)づるなみやはるのはな」

となっていて、

「いづる」の「い」が( )に囲まれている。

脱字が指摘されているのです。

この解釈だけでは、
怪しいので、

別の本でも確認してみます。

久曾神 昇『古今和歌集 (校注古典叢書)』(明治書院1986)の9ページによれば、

「山風にとくる氷のひまごとにうちいづる波や 春のはつ花」

とあります。

こちらの先生の解釈でも、
「いづる」の「い」はあるとされているわけです。

ということは、やはり、

脱字

ということです。

奈良時代の写経と異なり、
おおらかにとらえていたのかもしれません。

ちなみに、
脱字は、この歌以外にもいくつもあります。

30番歌、32番歌なども文字が抜けています。

他にも、脱字が無いかどうか、
探してみてください。

自分の脱字を探すより、
楽しいかも知れませんよhappy01

 古筆に学ぶ 古筆に学ぶ
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源氏物語絵巻を見てきました。

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。


美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。





さて、五島美術館に行きました。

ここは、毎年、源氏物語絵巻を公開しているようです。

http://www.gotoh-museum.or.jp/collection/index_genji.html


詞書がとても素敵なんです。

きらびやかな料紙も素敵ですし、
書かれている文字も美しい。

それから、

感情の起伏が、
行間でわかるんです。

「鈴虫」や「夕霧」の
詞書の行間は、
写真のように、
行間が広いんです。
Sany0019
#相変わらずの、つたない臨書ですみません。

が、
「御法」

紫の上が亡くなるぞ~~
っていうところ、
心が掻き乱されている様子を
行間を狭くして、
文字を重ねて書くことで、
表現しているんです。

書いてある内容がよくわからなくても、
切羽詰った感じが
伝わってくる気がします。

手書きの文字だから、
できる技だなぁと
思いました。

今月10日まで
#もうすぐですね。
公開されています。
源氏物語絵巻 伝藤原伊房筆  / [本]

古筆って

日本の
古筆について、触れたいと思います。

古筆、ということば、よく聞きますが、
どこからどこまでを指すのでしょうか???

広い意味では、「古人の筆跡」だそうです。

(村上翠亭『いまさら他人に聞けない「かな」の疑問100』芸術新聞社2001
  106ページに詳しいです)

でも、古いだけじゃ、だめなんです。

芸術的に高い価値をもって、
書道のお手本たるべき内容を持ったもの

なんだそうです。

でも、芸術的にすばらしいって、
とっても主観的です。

ま、とにかく、
 古くてよいもの
をさすのだと思います。

だから

 仮名の名品

だけでなくて、

漢字の
 経典
 詩文
 書簡

も含まれるんだそう。

今さら他人に聞けないかなの疑問100 (墨ハンドブック)今さら他人に聞けないかなの疑問100 (墨ハンドブック)

著者:村上 翠亭
販売元:芸術新聞社
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藍紙本万葉集(3)

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。


美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。





藍紙本万葉集(2)の続きです。

「藍紙本万葉集」では、

「別提訓形式」   ← ※もう一度、あとでふれます。

をとっているといいます。
つまり、万葉仮名で本文を記したあとに、
平仮名で訓(読み方)を記す形式です。

例)仮名 本文
  -----
   あ 安
   い 意
   う 宇
   え 江
   お 於

※ http://images.google.com/
 ここで、藍紙本万葉集 を検索してみてください。

一方、「西本願寺本」などの仙覚の校訂本系統では、

「傍訓形式」

です。

要は、ふりがなです。

万葉仮名の本文のかたわらにふりがなをつけているのです。

例) 本文
  -----
   安ぁ
   意ぃ
   宇ぅ
   江ぇ
   於ぉ

※ http://images.google.com/
 ここで、西本願寺本 を検索してみてください。

さて、「別提訓形式」にもどります。

 同じ「別提訓形式」でも、
「桂本万葉集」と「藍紙本万葉集」では記載方法がちがうようです。

「桂本万葉集」では、作者名が歌よりも一段高くおかれています。

例)
        作
   | 本 者
   | 文 名
   | | や
   | | 詞
   | | 書

※ http://images.google.com/
 ここで、桂本万葉集 を検索してみてください。

一方「藍紙本万葉集」では、詞書(説明文)は
本文より一段低くなっています。

例) | 本
   | 文 作
   | | 者
   | | 名
   | | や
   | | 詞
   | | 書
   | |
   | |

※ http://images.google.com/
 ここで、藍紙本万葉集 を検索してみてください。

詞書が本文より低く書く書き方は、古今集に多くあります。

時代が下るにつれて、
次第に古今集の書き方に、
近づいていったのかもしれません。。


それから、

巻子は、いくつもの紙を
継ぎ足して一巻になります。

で、

問題です。


「藍紙本万葉集」は、
①紙を継ぐ前に書き上げられた。
 書き上げてから、紙を継いで、
 一巻にまとめた。

②書く前から、
 一巻についであった。






回答は、②です。

何箇所か、

紙の継ぎ目の上

に文字がある場所があります。

※印刷でもわかります。今度ぜひ、探してみてください。

Book 藍紙本万葉集 伝藤原公任筆 (日本名筆選)

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継いでから書くなんて、
すごいなぁとおもいました。

失敗することを恐れず、
継いである紙にがんがん書き進められるなんて、
とても度胸が据わっている方だと思います。


でも、こんな風に紙をついでから書く方法、

そんなに珍しいほうでもなさそうです。

高野切第一種でも、
同様に継ぎ目の上に文字がある場所があります。

藍紙本万葉集(2)

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。


美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。





藍紙本万葉集(1)の続きです。

今回は、
昔の人の、さらに昔の人が書いたものを解読するには、
昔の人でも、
学者でないとできなかった、
という内容です。

「昔の人の書いたもの」と、十把一絡げにとらると、
昔の人にとって昔の人がいたことを
忘れてしまいませんか?

私自身、平安時代の人と奈良時代の人、
とても、近い時代の人だから、
感覚も近いはず、、、
と無意識のうちに思っていました。

でも、古代と中古が数百年離れているんですよね。

私たちが江戸を昔だ~と思うくらい、
平安時代の人は、奈良時代を昔だと思ってたかもしれません。

私たちが江戸時代の古文書をみて
「なんじゃこりゃ!よめないよ」
と思うように、
平安中期の頃、
既に奈良時代に成立した『万葉集』が読めなくなっていたらしいです。

万葉集が成立してから約200年後の天暦5年(951年)、
村上天皇は梨壷の5人を選定し、
『万葉集』の訓読を要請したんだそうです。

つまり、当時既に、
学者5人も集めなければ、
『万葉集』を読むことができなくなっていた、
というのです。

訓読作業のことを加点といいます。

このときにつけられた点が古点と呼ばれています。

これ以降、
平安時代の後期までに次第につけられていった点は
次点といわれています。

鎌倉時代に入って、
鎌倉時代中期の仙覚という僧侶がつけた点は
新点といわれています。

「藍紙本万葉集」の訓は、古点が主であると想定されています。
もちろん次点と思われるものもつけられているといわれています。

さて、
『万葉集』は
『古今和歌集』や『和漢朗詠集』の写本に比べると、
写本が少ないんだそうです。

つまり、需要がなかったということらしいのです。

平安朝では
なじみの薄かったんですね。

平安期の五大万葉集として、
次の5作品が尊重されています。
・「桂本万葉集」
・「藍紙本万葉集」
・「元暦校本万葉集」
・「天治本万葉集」
・「金沢本万葉集」

Book 桂本万葉集 (日本名筆選)

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Book 元暦校本万葉集 (日本名筆選)

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天象の万葉集  / [本] 天象の万葉集 / [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
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Book 金沢本万葉集―藤原定信筆 (日本名筆選)

著者:島谷 弘幸
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藍紙本万葉集(1)

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。



美術館や博物館で、
書の作品って、
どこが面白いんだろう、、
と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
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どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、
皆様の心に
何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。





さて、数回に分けて、藍紙本万葉集の話題を取上げます。

私、大学院試験の口述試験のとき、

目の前に長い机いっぱいに広げられた巻物のこと、

何も答えられなかったんですtyphoon。。。

「あれは何だったんだろう、、、、」

とずっと気になっていたんです。

で、会社の近くの本屋で、

『図説日本書道史』墨スペシャル12(芸術新聞社)

http://www.syoyubooks-e.com/product/620

を見てたんです。

そしたら、ありましたeyeflair!!

答えは、「藍紙本万葉集」でした。

※次ぎのリンクを右クリックして、新しいウィンドウで開いて置いてください。

http://abc0120.net/words01/abc2009031607.html

もしくは、次のサイトで検索してください。

http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/index.html

※このサイトで「作品・文化財の名称」に「藍紙」と入力して検索すると出てきます。

画像は小さいですが、他のサイトより、比較的色は本物に近いです。

のどに引っかかってた魚の骨fishが取れた感覚というのでしょうか。

ちょっと、スッキリしました。

筆者は、

 藤原公任

だといわれていました。

でも、今では

 藤原伊房

だといわれています。

筆者がころっと変わってしまったらしいのです。

というのも、

日本の古筆には、署名がないので、

「伝○○筆」であると、口伝で伝わっているようなのです。

本当に誰が書いたものなのか、証拠がないので、

推測するしかない、ということになるようです。

で、この「藍紙本万葉集」がなぜ、

 藤原公等 筆

と言われていたかというと、

江戸時代に古筆鑑定をしていた古筆家で、

公等さんがかいたんじゃぁないかと、伝わってきていたから

だそうです。

でも、この説を覆した人がいました。

田中親美さんという方です。

#この方、平家納経の複製にも携わっていました。

実際に、他の藤原公等と筆跡を比較してみると、

かなり違うと思うんです。

※次ぎのリンクを右クリックして、新しいウィンドウで開いて

先ほどの「藍紙本万葉集」と比較してみてください。

http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=82646

もしくは、次ぎのサイトで検索してください。

http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/index.html

※このサイトで「作品・文化財の名称」に「北山抄」と入力して検索すると出てきます。

「藍紙本万葉集」が右肩上がりupwardrightupwardrightで力強いpunch雰囲気なのに、

こちらは、 右肩下がりdownwardrightdownwardrightもしくは平行で、やわらかいribbon雰囲気です。

今度は、藤原伊房筆といわれている作品の筆跡と比較してみます。

とてもよく似ているんです。

例えば、「十五番歌合」を御覧ください。

※次ぎのリンクを右クリックして、新しいウィンドウで開いて

先ほどの「藍紙本万葉集」と比較してみてください。

http://abc0120.net/words01/abc2009031608.html

前田育徳会蔵「北山抄」巻三と巻七も、この筆跡に良く似ています。

#ほかにも、伊房筆とする理由を飯島春敬先生がまとめていらっしゃいます。

詳しくは、飯島春敬先生『藍紙本万葉集』日本名筆第110(書芸文化新社 1980/4/15)を御覧ください。

伊房さん、どんなお人柄だったのでしょうか?

1000年も前に、契丹との密貿易にかかわったといいます。今だったら宇宙人と貿易するくらい、遠い国とのお付き合いです。

それから、『後拾遺和歌集』の清書を依頼された際に、自分の歌が一首しかはいっていないので、勝手に二首書き加えてしまいました。

ばれて、書き直しを命じられ、それに腹を立てて清書の役をおりたんだそうです。

破天荒な性格だったようです。。

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北山抄〈2〉巻5~巻9 (尊経閣善本影印集成)

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北山抄注解〈巻10〉吏途指南

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