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奈良時代の写経2

おはようございます。

ご覧になってくださり、
ありがとうございます。

 

美術館や博物館で、

書の作品って、
どこが面白いんだろう、、

と思ったことはございませんか?

わたしも、
思いました。

でも、
ちょっと、
歴史的な背景を知るだけで、
見るのが楽しくなるのが、
書道の作品だと知りました。

この楽しさを
より多くの方と共有できたらと思い、

書道の作品を見ることが
楽しくなるヒントを
掲載してゆきたいと思っております。

力不足な点も多々あるかと思いますが、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

そして、

皆様の心に

何か暖かいものが残ることを祈りつつ。。。

clover chick clover chick clover chick clover 

今回は、奈良時代(天平)の
写経
その2です。

前回、

1セット5048巻もの一切経を
奈良時代には
いくつも
作っていたことについて
触れました。

これだけの大仕事、

まさか、1人で、、、、

なんてことは、

では、問題です。

独りで5048巻、
書き上げた方、

いらっしゃるでしょうか?

答えは、

いらっしゃいます。

1人で一切経を書き上げることを

一筆一切経

といいます。

まず、
藤原定信という方。

23年かけて、

1151年に

完了したそうです。

残念ながら、
今は残っていないそうです。

もう1人は、
色定法師(しきじょうほうし)。

42年かけて、完了したそうです。

こちらは、
5048巻中、4331巻が残っているそうです。

現在は、福岡県の宗像大社神宝館に収蔵され、
修復中だそうです。

これだけの、大仕事、
現在であれば、
ギネスブックに認定されるのではないでしょうか。

さて、

一人でやれば
大変でも、

みんなでやれば、
速くできる!

権力者の力技です。

写経作成の組織があったそうです。

その名も、

写経所

です。

当時は、

印刷術はまだありません。

手で書くしかないのです。

どこかから写経を借りてきて、

書き写して

複製を作っていたのです。

では、

誰が書いたか。

そうです、
写経生と言われる方々が書いていました。

この写経生、

役人の中から
能筆(字が上手な人)だからと
選ばれた人もいれば、

試験で選ばれた人もいたそう。

Photo_3

上の図は、試験用紙を臨書したものです。
書道全集9 図版92、93 を参照しました。

試験用紙の上の方に
「未定」
「不定」
とか書いて、合否を決めたようです。

このように、
特別に選ばれた写経生の方々ですが、

その仕事内容は、決して楽なものではなかったようです。

1人1日平均7枚、
2~3日で1巻分を書き写したといわれています。

気になる待遇はというと、

-------
お給料
-------
1枚書いたら、

普通の用紙に、普通に墨で書くと、

例)墨書の法華経

5文。

金字経なら
金を膠(にかわ)にといて書くのは、難しい技術ですので、

例)紺紙金銀字大唐西域記巻第六(こんしきんぎんじだいとうさいいきき)中尊寺経(ちゅうそんじきょう)
※絵師は、別の人だと思います。

倍の10文

1日平均7枚書いたら、
日給にして、
35文程度です。

しかし、
現在の価値に、
換算してどのくらいかは、

不明です。

ごめんなさい。

そうそう、

金字で書いても、そのままでは、あまり輝きが無いので、
磨きをかけて、文字を光らせていたそうです。

磨く道具に使われていたのは、何と

イノシシの角。

一文字一文字に魂込めて、
鎮護国家を目指していたんですね。

-------
減給
-------

残念ながら、

罰則があるのです。

脱字があると、
減給されるのです。

写経生が書いた後に、
校正係が厳密にチェックして、
誤脱を確認するんです。

では、
問題です。

脱字1字につき、
いくら減給されるのでしょうか?

答えは、
1文です。

更に問題です。

1行見落としたら、
いくら減給されるでしょうか?

答えは
20文です。

1行に付き17字詰め、
1枚に20数行ですから、

1文字見落としただけで、
4~5行書いた給与、

1行見落とせば、
4枚書いた給与が減額されていた

ということです。

わたしは、
誤字脱字が多い方です。

もし、
私が写経生だったら、

働けば働くほど、

借金だらけになっていたかもしれません。

-------
休暇
-------

奈良国立博物館で開催された
2008年の「正倉院展」に、

写経生の休暇届が出ていました。

休暇の理由で一番多いのは、

病気。

座り仕事の職業柄からか、

腰痛

足痛

が目立つのだそう。

私も、SEをやっていた頃、
残業が続いたときは、
腰痛に悩まされました。

休暇の理由で面白いのがあります。

なんと、

洗濯

屋根の修理

で、休暇が認められている例も
あるんだそうです。

洗濯機もない時代ですし、

屋根の修理も自分でしなくちゃいけなかったでしょうから、

今とは事情が異なるかもしれませんが、

驚きます。

過酷な労働環境だったせいか、

写経生側も、

いろいろ理由を作って、

何とか休もうと、

していたのかもしれません。

※『第60回「正倉院展」』の図録99ページに詳しいです。

では、
どんな休暇願の文書が残っているのでしょうか。

Photo_4

第60回「正倉院展」99頁図2 の臨書です。

要約すると、

「できものが大きくなって痛いので、
 出勤できません。」

という内容です。

できもの、といっても、
病気の種類はいろいろありますし、
どんなできものだったのでしょうか。。。

水疱瘡でしょうか?
風疹でしょうか?
それとも、恐ろしい、疱瘡??

--------------
道具の支給など
--------------

書写に当たって、

・書写するお経の借用と返却

・写経生に
 紙を何枚、
 筆を何本、渡したか

管理していた帳簿が正倉院に残っています。

1_2

第60回「正倉院展」100頁 の部分臨書

誰に、
いつ、
何を、
どれだけ、

管理の方法は、変化しても、

今も昔も、

管理する対象は、

変わらないのですね。

面白いのが、

資料を見やすくする工夫がなされているということです。

人名が書かれている行だけ、
紙の色が濃いのです。

検索しやすくする工夫だそうです。

参考文献
下中邦彦編集『書道全集』9(平凡社1965)
名児耶明監修『決定版日本書道史』(芸術新聞社2009)
小松茂美編『日本書道辞典』(二玄社1987)
奈良国立博物館『第60回「正倉院展」』(仏教美術協会2008)

図版出典
 このページに掲載している図は、
 全て筆者による臨書作品です。
 ぜひ、博物館・美術館にお出かけになって、
 本物をご覧になってください。

 

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